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●July 2001
July 29:Lモードの羅生門的プライバシー条項のナゾ
July 22:ホームページと美術史の陥穽のナゾ
July 15:CD-Rのジッタとメーカーの言い分のナゾ
July 8:ブロードバンド組合結成のススメ


July 29
 ●Lモードの羅生門的プライバシー条項のナゾ

最近ADSLの話題を取り上げたせいか、Webmasterのもとにはメイルが多数やってくる。その多くは光化によってADSLが不能であったり、INS64からの再転換でトラブった例である。こちらの内容はかなり報道されてきたが、当事者からのメイルを見ると切実なものがある。

ところでLモードが始めるようだ。どうしてiモードの次がLモードかは良く解らないが、会社の言っている理由は怪しい。おそらく、”I”の次の”J”、”K”は他社を意味するからつかえなかったのでは無かろうか。

Webmaterはこの手のサービスはオープンなインターネットではなくてインターネットもどき(pseudo-internet)であると考えている。確かに銀行の決済などの利便性は大きいが、基本的には陳腐化しつつあるダイヤルQサービスが形を変えたものである。何より通常のISPと違って電話会社がクレジット会社のように商行為の決済能力を持つ点が要注意なのである。

契約事項には次のような文言がある。

”Lモードをご契約いただける回線は、Lモードのご利用をお申し込みいただいた方と同一名義とさせていただきます。利用時間に応じた通信料及び有料番組の情報量については、契約者以外の方が利用した場合を含め、契約者にお支払いいただきます。”

とある。これは契約者以外の利用は支払い義務が無いとするダイヤルQサービスでの判例を意識した文言のようだ。しかし、条項の中にはもっと腰を抜かすものがある。その文言は出所によっても異なる。郵送された案内には、

”情報検索サービスをご利用の際、利便性向上のため、ユーザID等のお客様に関する情報について、コンテンツ・プロバイダーにお知らせする場合や、弊社が利用する場合があります。

ユーザーID”等”という表現が曖昧で、どこまで個人情報が業者に漏れるのか不明である。電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインの第4条ー2に、”情報主体の同意があるとき”とあるのをクリアするためと思われるが、これに同意すれば個人情報はハダカ同然である。面白いことに”みかか”ホームページの文言は異なる。

”Lモード契約等に基づき情報検索サービスを利用する際、Lモードの利便性等の向上のため、当社がその情報提供者へユーザID及び地域識別コード等を通知すること。またユーザID及び地域識別コード等の他、申込書に記載した情報及びLモードを利用する際に提供する情報について、当社が利用すること”

ここでもユーザID及び地域識別コード”等”がどこまで含むかは解らない。業者もしくは”みかか”からあなたの趣味や嗜好に応じたダイレクトメールを戴くこともあるのだろうか。そうそう、最近問題となっている、

”契約者のメールアドレスに送信された電子メール及び申込みに基づき当社が送信する情報を受ける際にも、通信料が発生する事を確認し、かかる料金についても支払義務を負うこと。また当社が回収した情報料に係る争いについては、その有料情報提供者との間で解決し、当社には何ら請求、苦情申立を行わないこと。コンテンツの閲覧・利用により生じた係争については、当該の情報提供者との間で解決することとし、当社は一切の責任を負わないこと。

とある。さらに、

”支払義務を負う情報料を、支払期限後70日を経過しても支払わない場合、及びそれ以前に支払わない意思表示をした場合、当社が契約者の氏名、住所、ユーザID、利用回線番号等を当該の有料情報提供者へ通知すること。”

とある。トラブルになったら業者からの追い込みも覚悟しなければならない。カネは業者の代わりに回収するがトラブルは一切関知しないという条項は過去クレジットカードにもあったが、社会通念に反する一方的な条項は無効とする判例が主流である。そのため現在は、

”商品や役務に問題ある場合は加盟店と交渉すること。しかし問題が解決しない場合はクレジット会社に連絡して代金請求に対し支払いを停止すること(支払い停止の抗弁)ができる。”

となっているのが一般的だ。Lモードの条項よりクレジットカードの条項の方がはるかに文化的なのである。

一方的に契約者に不利な条項の効力は疑問であるが、電話会社がどこまでその重要性を理解しているか疑問である。契約を考えておられる方は、一度条項を熟読されることをお勧めしたい。

追加

実はi-モードにもかなりの条項があるとの指摘を受けた。場所はこちらである。

”(1) 当社は、次の(オ)および(カ)の場合、お客さま情報(住所、年齢、性別)およびお客さまが登録された「マイデータ登録」の下記情報(※)を利用することがあります。

(オ)お客さまの年齢、性別などに応じて、特定のサイトをおすすめする場合。
(カ)メッセージ〔F〕(フリー)を配信するにあたり、お客さまに第三者の広告を配信する場合(お客さまにパケット通信料はかかりません。

※マイデータ登録[任意]・・・生年月日、性別、ご結婚、お子様、ご職業、年収、ご興味、ご趣味、好きな音楽、好きなスポーツ

(2)当社は、約款または本規則において別に定める場合など正当な理由がある場合を除いて当社以外の第三者にお客さまの契約者情報および「マイデータ登録」にて登録された情報を提供することはありません。

この”別に定める場合...”について記載が無いのが不気味である。これはおそらく、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインの第4条にある、

” 二 情報主体の同意があるとき。
三 電気通信事業者が自己の業務の遂行に必要な限度で個人情報を内部で利用する場合であって、当該個人情報を利用することについて相当な理由があるとき。
四 前3号に掲げる場合のほか、情報主体以外の者に提供することが明らかに情報主体の利益になるときその他個人情報を利用し、又は提供することについて特別の理由があるとき。 ”

を念頭においたものだろう。いずれにしても、”相当な理由”や”特別な理由”がだれにとっての理由かが不明確なのである。4条にはまた、

”ただし、これにより、情報主体又は第三者の権利利益を不当に害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。”

とあるが、ザル法(正しくはザルガイドライン)であることが明白だ。くれぐれも注意されたい。(なお、原文の(オ)(カ)は半角カナである)

追加・その2

そういえば、iモードの条項にはこんなのもある。

”本規則の内容は、当社の都合によりお客さまへの通知なしに変更されることがあります。この場合には、本サービスの提供等については、変更後の本規則が適用されます

お客さまと当社との間で本サービスまたは本規則に関連して訴訟の必要が生じた場合、当社の本店所在地を管轄する地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とします。”

だそうである。説明を要しないと思うが、契約を通知なしに変更することは無効である。

なお、”管轄裁判所を会社の本店所在地の裁判所とする”、は民事訴訟法17条の「当事者間の衡平を図るため」に反し無効である。例え会社が本社の所在地の裁判所で提訴しても、ユーザーの所在地の裁判所に移送することができる。詳しくは国民生活センターの合意管轄条項と移送申立てについてを参照いただきたい。

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July 22
 ●ホームページと美術史の陥穽のナゾ

以前、

  ●生物の系統発生とパソコンの関係のナゾ(個体発生は系統発生を繰り返す編)

というトピックがあった。パソコンのOSのインストール(個体発生)は、進化としての系統発生を繰り返すという論旨である。さらにOSは毎回立ち上がる度に(個体発生)に、OSの系統発生をなぞるのである。

個体発生が系統発生をなぞるのはOSだけでは無い。現在のチップセットはCPU周りを処理するノースブリッジと、周辺機器を処理するサウスブリッジが比較的少ない電線で結ばれている。しかしOSのインストール、そしてOSの立ち上げ時にはチップセットは周辺機器とCPU周りが直結した8086用チップセットのエミュレーションから始まるのである。

同じように、ホームページのデザインの進化も美術史が示した進化の道を辿っているように思う。

図上段はハムラビ法典(出典)である。主に文字の羅列からなるのは、どっかのドグマホームページも同じである。画像はあくまでも挿し絵として画像混じり文を構成するに過ぎない。

美術も輝かしいグレコローマン期を過ぎると長い沈滞期に入る。そしてルネサンスを迎え、最高傑作のモナリザの後に再度停滞に陥る。オブジェクトの描写を最大限に生かすために背景は次第に明度を下げて真っ暗になってしまう。輪郭線を廃した人物像は、写実を極めるほど周囲が暗くなり、絵全体が抑鬱された印象になる。

高山宏氏は、このような絵の白黒を逆転すると日本画になることを示している。つまりオブジェクトを書き込むのか、あるいは陰影を書き込むのかはちょうど逆転の関係なのである。その後、絵画は浮世絵や写真の登場などの多くの影響を受け、印象派をはじめとしてオブジェクトを輪郭線無しに明るい背景に書き込む筆到に繋がるのである。

図はヤン・ド・へ−ムの”果物と花の壁飾り”である。なるほど果実のみずみずしさが十分表現されているが周囲はあくまでも暗い。それを白黒反転してみると印象は一転する。真っ白いクロスのひかれたダイニングテーブルの中央の生花を真上から描写したように見えるから不思議である。あるいは、少し時代遅れの電気ポットの花柄にも似て無くもない。

その隣の重苦しいホームページは、近頃フランスの資本下で驚異的な回復を見せた自動車会社の最新作S車のティージング画像である。確かに中央のコクピットは印象的であるが、全体的に抑鬱的な印象は拭いきれない。ネットにも多くの黒を背景としたホームページがあるが、概して文字のコンテンツの多い”うなぎの寝床”式ページでは強いコントラストで読み疲れてしまうのか、相性が良くないようである。ちょうど一日中映画を見る疲労のようなものだろうか。

さて件のS車のページの画像を白黒逆転させてみると、まるで化粧品会社Sのホームページのように明るく華やかなものとなる。ここのページも、白っぽいオブジェクトの周りには目立たないような小さく淡いな陰影をつけながら全体的には明るさを確保するという、高度な技法が使われている。最近はグレー辺倒だったパソコンも明るい色に変わっていて、Webmasterは一過性の流行だと思っていたのだが、あるいはこれも必然的な進化なのかも知れない。

ところで、過去にWebmasterはS車のホームページについて、

  ●スカイラインのホームページのその後
  ●ニッサンスカイラインのデザインに思う

のように触れた事がある。今回も図のようなティージングのホームページの暗い色使いには違和感を受けた。ところがS車が発売後に新装なったホームページのギャラリーはかなり明るくなり、ささやかながら進化を遂げたわけである。

いままでS車は引き締まった車体による成功と、中年太りによる失敗を何度も繰り返すマーケッティングを続けてきた。今回の車はウエストやルーフラインから始まってCピラー付近がアストラに似ているが(写真は各会社HP由来)、直6を捨てたおかげでかなりまともなパッケージングになっている。明るくなったホームページの色使いを見るかぎり、この会社もやっと中世を抜け出して近世に向かっているようだ。

もちろん、”レース技術が云々”との文言を繰り返すこの車のマーケットが大きいのか小さいのか、また知名度が薄い諸外国への輸出が進むかはどうかは別の問題である。メーカーが世間並みにリカバリーする間に、浪花節を捨てて着々とハイブリットカーの布陣を進めているメーカーもある。炭酸ガスとの戦いが中心を占める近未来を楽観視するのはちと早すぎるかも知れない。

ところで、同じような進化はOSのGUIにも見て取れる。かつてM$は、重苦しい黒色のアクティブデスクトップで同じ陥穽にはまったのであるが、Win2kやwin-MEではほぼwin95GOLDの色調に戻っており、さらに新しいWin-XPではオブジェクトより明るいデスクトップに回帰するようである。ホームページだけでなく、GUIも美術史と同じ道を辿るのであろう。

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July 15
 ●CD-Rのジッタとメーカーの言い分のナゾ

以前より本ページではCDとジッタの関係を研究している。それは、

  ●音楽CDの音質とジッタの関係のナゾその10(山本式メカニカルダンパー変造)
  ●音楽CDの音質とジッタの関係のナゾその9(TE信号とエラー信号記録法)
  ●音楽CDの音質とジッタの関係のナゾその8(ジッタ量とエラー訂正頻度)
  ●音楽CDの音質とジッタの関係のナゾその7(ジッタの影響はDACか?アンプか?)
  ●音楽CDの音質とジッタの関係のナゾその6(緑に塗ったりカットしたり編)
  ●音楽CDの音質とジッタの関係のナゾその5(ジッタの電源ライン波及編)
音楽CDの音質とジッタの関係のナゾその4(みんなでジッタサウンド編)
  ●音楽CDの音質とジッタの関係のナゾその3(ジッタ変動とスタビライザーX編)
  ●音楽CDの音質とジッタの関係のナゾその2(原信号特性編)
  ●音楽CDの音質とジッタの関係のナゾ(CDの神髄編)

とかなりのしつこさである。簡単にまとめると、

”CD-RはプレスのCDよりジッタが大きいが、正しく焼かれたCD-RのエラーはC1、C2の段階で訂正されてしまう。C1,C2で回復できないエラーがあるとRF信号も途切れてフレームがはずれ、補完しきれずに音が飛ぶことが多い。CD-Rではピット生成に起因するジッタのためサーボ系の負担が大きく、それが電源を通じてアナログ回路に影響を与えるのだろう。CDのサーボ系はまるでアナログレコードプレーヤーがハウリングを起こすように振動やノイズの輪廻を形成する。もっとも簡単な対策は、トランスポートを傾け、ダンピング素材を追加することでその輪廻を絶つ事である。

ということであった。当初予想されたサーボ電流によるメイン水晶クロック周波数の揺れは確かに存在するが、そのインパクトは小さかった。もちろん、サーボ電流によりコンパレーターでのデジタル閾値を決める電位が揺れて起こるクロックのジッタもあり得るが、Webmasterはそのインパクトはアナログ回路に起因する問題の方が大きいと考えている。

おおむねケリがついた問題かと思っていたがピュアオーディオと称する分野ではいまだ論争は続いているようで、最近とある記事をどう思うか、というメイルを戴く。そこではドライブメーカーの技術者の発言が物議を醸しだしている。CDの理解にはかなりのアナログ、デジタル、メカトロ技術を要するので、記者のレベルでは当初から難しかったようである。

幸運なのはこのメーカーが音響機器を売っていないので、率直に発言できることだろう。これが$ONYやY@MAHAだと、本当のことを言ってくれるかどうかわからない。このメーカーの師匠であるTヨACならどう答えるのだろうか。そこで、この記事をWebmasterなりに読み解いてみることにする。

■ CD-Rに焼くと、やはり音は“変化する”

メーカーとしては、劣化でなく変化との主張である。Webmaster的にはデジタル的には同じだがアナログ的にはやはり若干劣化するというのが正しいと考える。

■ 40倍速リッピングで15万秒以上エラーの出ないドライブ

これは、そのメーカーのドライブ精度が他社のドライブより高いという主張であろう。ただ、

”正確にはエラーではないですね。C2フラグがたつまでの時間です。これはベリファイエラーがおきることを意味しています”。

とは意味不明である。業界ではCD読み取りの確認はコンペア、書き込みの確認はベリファイと呼ぶようなので誤用であろう。ベリファイエラーという呼び方は間違い無く訂正不能のデータエラーを意味する。C2フラグもC2F1、C2F2、 C2POのいずれを差すのかも不明である。前2者は訂正の可能性があるが、C2POフラグが立った場合はベリファイエラーになる。とすると正確にはエラーでないという発言はベリファイエラーと矛盾する。おそらく記者が重要な部分を書き落としたのだろう。

■ なぜか、標準速の音がいい

これは全然不思議ではない。

このメーカーはスピンドルサーボの精度に一番力を入れて来たようだ。スピンドルの回転ムラは標準速ではDCモーターのコギングによる回転の不規則性によるジッタ(おもに1kHz以下)が目立つので、少し早く回して慣性で稼ぐほうが減る。

しかし高速になるとピット生成のジッタ(おもに1kHz以上)が増える。メーカーはその当たりを勘案して、エラー率が最も小さくなる中間の速度での書き込みを勧めてきたようである。

ただ彼らが忘れていたのは、エラーの少ない領域と、サーボ電流による聴感上影響が小さい領域が異なることだろう。逆に言えば、エラーは少ないが聴感上影響を与えるジッタの領域があり得るということである。そんな領域があるのだろうか。

図を見ていただくと解るように、標準速ではTE信号のノイズピークは150Hz付近にあり、高域に向けてなだらかに低下する。これは昔のアナログプレーヤーではランブルやゴロと言われていた領域で、ジッタの比較的長い時間経過の揺動パターンである。

そもそもTE信号はトラックがズレないようにサーボをかける信号で、メインスポットを挟み進行方向に一つはメインスポットより先のピットに、一つは後のピットにピット内外の縁を舐めるように配置されたサイドスポットの差信号である。この配置によってTE信号とRF信号の位相を比較することにより、メインスポットがトラックをまたいでどちらにいくつスキップしたかを計算することで高速サーチも実現している。

このためTE信号にはスポット縁の性状を強調したRF信号のほぼ時間微分に類似した波形が大量に混入し、その可聴帯域の信号(積分値)には、トランスポートのメカニカルな振動に由来するジッタの可聴帯域の揺動が含まれる。ジッタ自体はナノセカント単位の出来事であるが、パルスカウント検波、あるいは最近の流行のΔΣDACと同じメカニズムで可聴帯域にその揺動が現れると考えられる。

それは書き込み時も同様である。CD-Rの回転ムラ、ディスクやウォブルの成形ムラ、振れ、トランスポートの振動のノイズ周波数パターンがそのまま最終的にはジッタとして現れるピットの位置や形のムラとして焼き付けられる。そしてその周波数パターンは高速焼き付けではレベルが全体的に高くなり、また聴感上敏感な1KHz以上に移動する。

従って、高速で焼き付けたCD-Rにはエラーを発生するほどではないが、それを補正するためにトラック/フォーカスサーボが働いて聴感上気になるようなジッタのパターンが焼き付けられる、と考えると理解しやすいと思う。

いったん焼き付けられると、そのCD-Rを他のプレーヤーで再生しても、ジッタの揺動パターンがサーボ系の負荷を通じて聴感上気になる周波数帯に再現されることになる。ただそのレベルは低いので、普通のスピーカーでは気にならないかも知れないが、上質なヘッドホンで聞き込むとその差が聞こえてくるかも知れない。

■ なぜ、音がかわるのか?

この項は素直に読んで良いと思う。どうやらこのメーカーはSPDIF出力で問題とされるクロックのジッタはあまり大きなファクターで無いと考えているようである。確かにSPDIF信号の基準レベルがふらつくとコンパレータの閾値が揺れ、それがクロックのジッタになり得る。しかし実際にはそのクロックが直接DACで使われるわけではなく、間に再度PLLによるクロック再生回路が入るのでジッタはある程度抑えられる。

問題はPLLがジッタの揺動に追従する速度(PLLループの周波数特性)である。これが遅いとPLLのロックインに時間がかかし、速すぎるとPLLのクロックが揺れることになる。

Webmaterの印象としては、PLLはナノセカンド単位でピットごとに揺れる速い成分のジッタには強いが、メカニズムに起因し可聴周波数域に入るような比較的低い周波数成分のジッタの揺動には弱いように思う。そのあたりのチューンが、外付けDACでの差に結びつく可能性はある。ただ、そのインパクトはアナログ回路に対する直接の影響よりかなり小さいと考えている。

■ それでも、音は変化する!

メーカーが言う”つまり、C1やC2が少ないことが即、音がいいとはならないのです。”との言は、やはりエラーを発生するジッタとサーボ系を通じて聴感上気になるノイズを発生するジッタのパターンが時空間的に異なるとWebmasterは解釈する。つまりジッタの数や絶対値よりも、その時空間的な発生パターンが可聴域に入ってくることが問題と考えているのである。

と言うわけで、メーカーも神話とデータの間で苦労している。ただ神話には一面の真実が含まれていることが多い。それを評価できるように測定法を考えて測定値を解釈し、だれにでも解るように説明し、さらに解決策を提示するのが技術である。ここでいう技術はtechnologyではなくてむしろartと呼ぶべきだろう。おそらくメーカーも次にはトランスポートを傾け、さらにダンパーを追加してくるとWebmasterは予想している。

CDの技術は、その成立年代を考えると驚異的なものである。現代のアナログ/デジタルの変調、復調、メカトロ技術の多くがCDというありふれた規格の中にぎっしり詰まっている。ただその問題が解ってきたのは、技術的な寿命が尽きた頃であった。CDもそのlifeは終わりを迎えてつつあるが、光円盤族のartは実に長いものである。

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July 8
 ●ブロードバンド組合結成のススメ

やっと日本でもブロードバンドの普及が始まった。Webmasterの使っているADSLのプロバイダーのせいかも知れないが、トラフィックが空いた時は確かに額面通りの速度だが、テレホーダイの時間にはがっくり遅くなる。ドっと情報がくるかと思うとパったりやんで、またドっと来たりする。まるで都市渋滞のようだ。

但しブロードバンドの普及が本当にトラフィックの輻輳させるかについては疑問がある。もしユーザーがすべてストリーム再生か、あるいは巨大ファイルのダウンロードを続けるなら、間違いなくINS64かモデム56Kが前提の回線は詰まるだろう。しかし、残念ながらネットを見渡してみても、ブロードバンドで常時ストリームを流しているサイトは少ないし、つながりが悪いところはブロードバンドでもINSでもモデムでも結局繋がらないのである。

少なくともWebmasterの回線の使用は時間も帯域も平均すると非常に低い。とすれば、これを無線LANを通じて数人でシェアしてもあまり使い勝手はかわらないのでは無いか。本ページの掲示板によれば、ADSLやCATVへのアクセスが無い地域があり、やきもきしている方もおられるようだ。そこで、Webmasterはブロードバンド組合というのを提案したい。

インターネットが普及する前に無線界ではパケット無線が流行っていた。VHF帯やUHF帯のFMにサブキャリア1200bpsのFSK(半二重)を載せて通信する手段である。

TNSというコントローラーは物理層からプレゼンテーション層までの機能を持ち、X.25ならぬAX.25という超低速のEthernet風プロトコール(p-persist CDMA/CA)で通信する。直接コネクトをかけてチャットすることも出来るし、BBSも運用できる。またネットワーク機能を止めて、パソコンからtcp/IPを運用することもできる。また9600bps(半二重)のシステムもあった。

Webmasterは大変気に入って、一時は出回り先をすべてパケット網でつないでいたことがある。”みかか”にまったく依存しない常時接続可能なパケット網はかなり快適であった。TNCのBBSは512kbytesの容量があったので、DOS時代のデータやユーティリティーは出先にISHファイルで予め送っておくことが可能であった。ローカル局とピーヒャラシャーと楽しくやっていたのである。

ところが周辺に壁のようなマンション群が立ちだした。パケット無線にはお互い中継しあう機能があるのだが、マルチパスが増えて最初に9600bpsが通らなくなり、1200bpsまで通りが悪く電波的に孤立してしまったのである。音声なら問題無いマルチパスもデーター無線には障害になる。そうこうするうちにインターネットが普及したので、パケット無線も下火になってしまった。しかし今や無線LANを使えば、無免許無届安価で草の根ブロードバンド通信網が実現できる。

例えばある地域にブロードバンドが来ていないとする。最寄りのブロードバンドが利用できるビルの高いところに無線LANと高利得アンテナを配すれば、その周辺100mの木造家屋に1Mbps程度で配信できる。地域の中心の高い所に八木アンテナと中継用ブリッジを置けば、数キロ離れたブロードバンド親局から地域の中継局周辺100mに十分な速度で配信することができる。もし無線の知識があれば、さらにエリアを拡大することもできるだろう。

同様にブロードバンド下宿とかブロードバンドアパートというのも面白い。一人がADSLを契約すれば、その下宿人全体が恩恵にあずかれる。下宿人はADSLとルーターの親局の諸費用をシェアし、個人用のパソコンにはノートパソコンなら電子カード端末(\10000)、デスクトップならアンテナ設置の自由度があるUSB式(\15000)が良いだろう。もちろんプリンター類のシェアもNetBEUIを使って可能だし、共用サーバーも立ち上げられる。セキュリティーは堅固では無いが、リソースにパスワードを設定して使わない時に電源を落とせば問題なかろう。

INS64一本あたり数十人のユーザーをかかえるプロバイダーがあることを考えれば、各人ともピークで1Mbps以上出る常時接続回線をシェアするのはさほど不自由では無いだろう。もしブロードバンドがやってこないなら、こちらからもぎ取りに行く時代かも知れない。

追加

掲示板からの情報だが、CAN 森の里なるご近所ネットワークは”運営経費を会員間で按分する、非営利の事業であるため、関東電気通信監 理局は届け出不要との見解”をもらったそうである。実際ベッドで寝転がってノートパソコンを使っていると、これは既成事実が先に普及した方が勝ちのようである。

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